補聴器をつけても、初めからうまくいくとは限りません。
たとえば、補聴器を耳につけるにも慣れが必要です。 耳が痛くなったり、かゆくなったりする場合もあります。うまくはまっていないために、音が耳から漏れて、「ピーピー」と周りに聞こえてしまうこともあります。
補聴器をつけたのに最初のうちは雑音ばかりが大きく、肝心の人の声はうまく聞こえない。そんな風に感じてしまうかもしれません。
補聴器をうまく使いこなして、よく聞き取れることを実感できるまでにはある程度の期間が必要なのです。以前に比べ補聴器の性能がよくなってきたこともあり、効果を実感できるまでの期間ははるかに短くなってきましたし、初めから違和感なく使える人も少なくはありません。
しかし、次に述べるような理由から補聴器の使い始めにうまく聞き取れず、補聴器のメリットより、うっとうしさを感じてしまうことがあります。
慣れるまで少し時間を要し、その間少し我慢をしなくてはならないことを理解しておきましょう。
少しずつ聞こえが悪くなってきた人の場合、音がない状態に慣れてしまい、その状態に適応しています。
私たちの脳はいろいろな音の中から必要な音を選び出すということを無意識のうちにしています。補聴器をつけると、それまで聞こえていなかったさまざまな音が急に聞こえるようになります。しかし最初は必要な音と不要な音を選別するこ
とができず、すべての音を同じレベー
ルで意識してしまうのです。
たとえば、普段はさほど意識することのない街なかの騒音も、補聴器をつけた直後は聞き流すことができず、ついそちらに意識がいってしまいます。雑音が気になると会話に集中できなくなります。
しかしそれも初めのうちだけで、脳には不必要な音を無視する働きがあるので、慣れてくるにしたがって雑音を意識しなくなります。
私たちの脳は、耳に入ってきた音がどんな音(言葉)であるのかを、音の成分のなかのいろいろな手がかりから判断しています。
補聴器を使い始めると、それまでよりも多くの情報が入るようになりますが、最初のうちはその情報をうまく利用できません。 増えた情報を脳が有効活用できるようになるまで少し時間を要するからです。
しかし、経験を積むうちに脳が学習し、しだいにそれまでよりも多くの手がかりを利用できるようになります。
容易に、かつ正確に音や言葉を理解できるようになるのです。
言葉の聞き取りに重要な子音は高音域に多く、音のエネルギーも弱いため、補聴器は一般的に高音域をより増幅して調整することが多いので音がかん高く聞こえたり耳障りに聞こえたりすることがあります。これも慣れてくるにしたがって、むしろ言葉が聞きやすくなっていることがわかるようになります。
補聴器をつけてすぐは急に音音が大きく聞こえだすものですから、音や声をうるさく感じてしまい、結局補聴器を使わないということがあります。そこで、まだ慣れないうちは補聴器の増幅を本来の目標設定よりも抑え気味に調整することが一般的に行われています。しかし、慣れてくるにしたがって物足りなくてもう少
し大きく聞こえたほうがよいと感じるようになります。それだけ補聴器に慣れてきたということです。 補聴器店に行き、初心者の設定からべテラン用に再整しなおしてもらうとよいでしょう。
なお、補聴器の音楽が物足りないと感じ
た時には、実際に聴計力が悪化しているといけませんので耳鼻咽喉科で聴力を検査して確認してもらうことも大切です。